カンボジア・僕の戦場日記

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後藤勝(写真・文)
定価 2500円+税
A5判 / 288頁 / 1999年初版
ISBN4-8396-0128-3 C0030 Y2500E
●書評●

岡村昭彦、沢田教一、一ノ瀬泰造に続く本格的な戦場カメラマンの登場です。
著者はフリーランスのカメラマンとして1997、98年のカンボジア内戦を取材。砲弾の炸裂する最前線で死の恐怖に震えながら徹底的に兵士たちの素顔に肉迫しようとする彼のことを、仲間の欧米人カメラマンたちは「クレイジー・ゴトー」と呼びました。ベトナム戦争当時ならまだしも、世紀末の「今の」時代にそこまで彼を駆り立てるものは何なのでしょう。
無残に死んでいった兵士たちと市民の絶望と哀しみをリアルにとらえた写真は、見る人を沈黙させます。

【目次】

●崩壊する新生カンボジア王国
内戦勃発の前兆/市街戦前日
●首都プノンペン市街戦
犠牲となる市民/突入する戦車部隊/銃口を突きつける兵士/略奪と処刑/医師も薬も足りない病院
●戦闘を追いシエムリアップ州へ
戦場に向かうハイエナたち/静まり返るアンコール・ワットの町/たたかうポル・ポト投降兵/激戦地ソム・ラオング/逃げ惑う農民たち/泥沼の戦闘/引き裂かれた家族/掃討作戦/恐ろしいポル・ポト軍の地雷/置き去りにされる兵士の死体/最前線の少年兵士/炎上する国境の町/銃弾に倒れる突撃隊/マラリアで震える/8年ぶりに日本へ帰国/平和な日本で思ったこと
●カンボジア政府軍乾季大攻勢
クリスマスはジャングルの中/夜襲/オスマイチ山攻防戦 怯える兵士たち/空腹と絶望/野戦病院/待ち伏せ攻撃/病院裏の火葬場/市民に振りかかる砲弾の雨/従軍中に負傷 バンコクの病院へ
●ポル・ポトを追いタイ国境をさまよう
制圧されたポル・ポト派の拠点 アンドング・ヴェング/ポル・ポト派市民の生活/投降したポル・ポト兵たち/200高地の激戦/ポル・ポト死去 すべて終わったのか
●祖国を追われたカンボジア難民
戦闘を続けるポル・ポト軍/憎しみ合う同じ民族
●カンボジア国民による初めての総選挙
選挙に怯える市民/平和行進
●内戦の犠牲者
軍病院 あふれる負傷兵/傷ついた兵士たち/貧困にあえぐ人々 崩壊する新生カンボジア王国

【書評より】
「本書は極めて私的な記録といえるかもしれない。が、確実に『人の姿』を伝え、今の時代を浮かび上がらせる。…真摯に自分に向き合おうとする著者の生き方に、同じように世界の紛争地を訪れてきた私は強い共感を覚える」(長倉洋海・共同通信記事より)
「テレビ画面の戦争風景に慣れっこになった僕の、鈍磨した日常に楔を打ち込むフォトストーリー」(樋口聡・図書新聞より)
「複雑なカンボジア内戦を理解する格好の書。フリーランスのカメラマンの実状がリアルに伝わり興味深い。カンボジアを旅行する前に、ぜひ一読してほしい一冊」(田中有・週刊朝日より)

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