ビルマ最北部、中国と国境を接するカチン州。ここで三年間、カチン民族解放軍と起居と共にした著者が苦闘のあとにたどりついたテーマが「自然の中での人間の生と死のつながり」ということでした。たとえば、森に生まれ森に死んで神話の世界に旅立つ魂。自然のめぐみを生命の糧とし、死んで自然に還る肉体。戦闘、処刑、病気などによる日常的な死・・・。 自らもマラリアで生死の境をさまよいながら渾身の力で書きつづった異色の紀行です。
【目次】
迎え火
天地(あめつち)始めの男と女
戦争と家族のいる風景
消えた人々
越境者外伝
消えなかった眼(まなこ)の戦場
いのちの根を共にして