ベトナム共産党元幹部による衝撃的な政治回想録。土地改革の誤り、知識人の弾圧
など、ベトナム現代史において隠蔽されてきたいくつかの事実を明らかにし、最大の
タブー、ホー・チ・ミン批判にも踏み込む。インドシナ現代史を見直す上でもきわめ
て重要な書です。
【目次】
第1章 破壊のシステム
第2章 隠蔽された過去
第3章 ベトナムの赤い貴族――特権的官僚階級
第4章 テイク・オフのために
【著者プロフィール】
タイン・ティンは抗仏・抗米戦争に参加した生粋のベトナム共産党党員で、党機関紙 「ニャンザン」の副編集長、「ニャンザン日曜版」の編集長も勤めたバリバリの幹部です。
しかし、旧南ベトナム政府・軍関係者に対する「再教育」、カンボジアに侵攻したベトナム軍兵士の実態、ボートピープルとなって国を去る人々の姿などをつぶさに見た彼は、次第に共産党の変質、特権化した党官僚の腐敗などに不信感を抱き、ベトナムの将来を憂いて、党に意見書を送り、真の民主主義の確立、国際共同体への参入を訴えました。
しかし、党はこれを路線に反するものとして糾弾し、タイン・ティンの党籍を剥奪しました。
亡命を余儀なくされた彼は、パリを拠点に今も祖国の民主化を訴え続けています。
本書は彼のそんな活動の中で出版されたものです。