ラオス概説

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ラオス文化研究所(編)
定価 5400円+税
A5判 / 572頁 / 2003年初版
ISBN4-8396-0161-5 C0030 Y5400E
●書評●

【関連書】 メコン メコンに死す 母なるメコン、その豊かさを蝕む開発

 ラオス人研究者と日本人研究者による初めての本格的なラオス概説です。ラオスに興味のある人には見逃すことのできない1冊。
「人名索引」「地名索引」「文化・食物・宗教・歴史索引」 「政治・経済・社会・自然索引」付き。
 「ラオス全図」のほか地域別地図、国境地帯地図も付いています。

【目次】
まえがき/ フンパン・ラタナヴォン(ラオス文化研究所所長)
① 地理と民族 
② 重要な歴史的できごと 
③ ラオス人民民主共和国 
④ 状況の変化と対応

ラオスの魅力と学び方/ 石井米雄

第1章 北部ラオス/ フンパン・ラタナヴォン
① 地理的条件と気候
* 山・川・平野  * 気候  * 地下資源 
② 民族 
③ 習慣・芸術・文化 
* ルアンパバーン県  * ボーケーオ県  * ルアンナムター県  * ウドムサイ県  * ポンサーリー県  * ホアパン県とシエンクアン県 * サイニャブリー県

第2章 中部ラオス/ フンパン・ラタナヴォン/カムペン・ケタヴォン
① 地理的条件と気候
② 行政区域と民族 
③ 交通・通信
④ 開発 
⑤ 産業と将来像 

第3章 南部ラオス/ カムボーン・ティーラプット
① 歴史 
② 地理 
③ 気候 
④ 行政 
* サーラヴァン県 * セーコーン県  * アッタプー県  * チャムパーサック県 
⑤ 経済と社会 
* 山岳と高原の自然資源  * 高原地帯の地下資源 
⑥ 交通・運輸 
⑦ 文化 
⑧ 観光 

第4章 政治/ 瀬戸裕之
① 党の基本政策および憲法
* ラオス人民革命党の基本政策  * 憲法の基本原理
② ラオス人民革命党 
* 党の基本理念と指導者  * 党員と党組織  * 政治制度の中における党の役割 
③ 国家機構
* 立法機関  * 行政機関  * 司法関係機関
④ 戦線および大衆組織
* ラオス国家建設戦線  * 大衆組織 
むすび 
* ラオス人民民主共和国 党・国家要職表

第5章 『正史』による前近代の歴史/ 飯島明子 
① 時代区分 
② 1893年10月3日の条約
③ 全民族から成るラオ人民
④ チャオ・アヌ 
⑤ ファーグム大王 
おわりに 

第6章 現代の歴史/ 菊池陽子
① フランス植民地下のラオス 
* ラオス植民地化の過程  * フランスのラオス統治  * 少数民族の反乱
② 第2次世界大戦下のラオス
* ラオス刷新運動  * フランス領インドシナにおける日本軍のクーデター
③ ラオス独立への道
* ラーオ・イッサラ運動  * ネーオ・ラーオ・イッサラの結成 
④ 内戦時のラオス 
* ジュネーブ会議と第1次連合政府 * ラオス内戦  * ラオス人民民主共和国の成立 
⑥ ラオス人民民主共和国 
* 社会主義国家の建設  * チンタナカーン・マイ政策 

第7章 民族/ 安井清子
① 多民族国家ラオス 
* 民族の数  * 時代によって民族政策は変わる  * 民族とは流動するもの 
② 民族の歴史 
* ラーンサーン王国を建国したラオ族  * ラオスの先住民族  * 山頂に住むラーオ・スーン 
③ モン族の暮らし 
* お正月は1年の節目  * 焼畑  * 女性の手仕事と民族衣装  * ケシ  * 口承文化  * 低地に降りてくるラーオ・スーン

第8章 宗教/林行夫
はじめに 
① 多数派宗教としての仏教 
② 精霊祭祀と境界 
③ 残された「儀礼言語」 
むすぶにかえて

第9章 文化/ 増原善之
①文化 
* 美術  * 機織  * 芸能  * 文化財保存 
② 風俗習慣 
* バーシー  * 誕生  * 出家  * 結婚  * 葬儀 
③ 年中行事
* ピーマイ・サーコン(国際正月)   * ブン・マーカブーサー(万仏節)  * ブン・パヴェート(大生経祭)  * ピーマイ・ラーオ(ラオス正月)  * ブン・バンファイ(ロケット祭)  * ブン・ヴィサーカブーサー(仏誕祭)  * ブン・カオパンサー(入安居祭)  * ブン・ホーカオパダップディン(飾地飯供養祭)  * ブン・ホーカオサラーク(くじ飯供養祭)  * ブン・オークパンサー(出安居祭)  * ブン・ガティン(ガティン衣献上祭)  * ブン・タートルアン(タートルアン祭) * ヴァン・サート(建国記念日)

第10章 言語/ 鈴木玲子
①ラオ語の概要 
* 名称  * 使用人口と方言  * 系統 
② 発音
③ 文字 
④ 文法 
⑤ ラオスの言語状況 
* 言語の宝庫  * 変化するラオ語 
⑥ ラオス的な表現と言葉 

第11章 経済
①​社会主義計画経済から市場経済へ
*社会主義革命成立後の混乱 *初の5ヵ年計画 *ペレストロイカが「チンタナカーン・マイ」を生んだ *旧ソ連邦の崩壊による移行経済戦略への転換 *第7次国家社会経済開発5ヵ年計画
②経済構造と経済成長
*農業の縮小と工業の拡大
③財政
④金融制度
*金融の規模:M2/GDP
⑤銀行制度
⑥貿易
⑦外国直接投資
(1)対ラオス外国直接投資の概況
(2)日本の対ラオス直接投資
*日本の民間投資が初めてODAを抜く *ラオス進出の具体的事例
(3)日本投資急増の背景
*内外無差別原則のラオス投資法と日・ラオス2国間投資協定 *大メコン圏(GMS)経済協力プロジェクト *ラオスの経済特区 *製造業に特化した経済特区 *中小企業専用の経済特区 *アジアで最も魅力的な恩典 *投資環境から見たラオスの魅力
おわりに

第12章 農業/ 島崎一幸
①ラオスの農業の全体像
*自給自足型から市場指向型へ *地域区分における農業の特徴 *作物におけるラオス農業の特徴 *農業技術と農業普及の現状 *灌漑農業の現状 *畜水産の現状
②ラオスの国家目標と農業
*国家開発戦略の概要 *農業・農村開発基本計画 *農業セクターの現状 *食料自給、輸出、輸入の現状
③商品作物
*商品作物の栽培および契約栽培の現状 *ラオスの主要商品作物の輸出状況 *農業投資とコンセッション
④ラオス農業の将来像―ー多様で豊かなラオスの自然と社会を生かす農業

第13章 村の暮らし/ 院多本華夫
①水に魚あり、田に米あり 
* ラオスの地形と気候  * 水田の形成  * 洪水と旱魃  * 開墾 
② 新米、うまい魚 
* 水田をめぐる風景  * モチ米  * 果物 
③ 肉10きれよりも魚1匹
* ラオス料理の味の基本  * 川の幸  * 山の幸
  ④ 高い木には精霊が

第14章 森林資源/ ブアトーン・プンサリット
①森林の状況
* 現在の森林面積  * 森林の分類  * 国の保護林 
② 森林産品 
③水棲動物と森林動物
④ 森林破壊の影響 
* 森林破壊の状況 * 赤信号 

第15章 運輸・通信/ サイ・パカスム
①旧植民地時代の運輸 
② 新植民地制度における運輸
③ 人民民主主義制度における運輸
* 陸運  * 水運  * 空運  * 商品の運輸  * 交通  * 運輸の手段 
④ 郵便と通信 
⑤ 都市計画と水道建設 
* 建築物  * 都市計画  * 水道 
⑥ 友好諸国と国際機関からの援助
* 社会主義諸国からの援助  * 人材の育成・訓練 
⑦ 21世紀の運輸・通信 
* 全体の方針  * 陸路  * 水路と空路の整備  * 郵便と通信  * 都市計画と水道、および人材の育成

第16章 マスメディア/ ヴァン・スート 
① ラオスのマスメディアの歩み 
* 1893年以前の段階 * 1893~1954年  * 1954~1975年 * 1975年から現在まで
②ラオスのマスメディアの役割 
* タイトルと内容について  * 役割  * 将来 

第17章 水力発電/ 松本悟
①ラオスの水資源 
②ダム開発推進の背景 
③ 水力発電の現状と日本政府の協力 
④ 民間主導のダム開発の特徴 
⑤ ダムによる社会・環境影響 
⑥ 電力価格交渉と経済効果 
⑦ ナムトゥン第2ダムとタイの電力制度
結語 

第18章 ラオス・中国国境/ カムペーン・ティップムンタリー  
① 歴史の中のラオス・中国国境 
* ポンサーリー県  * ルアンナムター県  * ウドムサイ県 
②現在のラオス・中国国境 
* 経済の変化について  * 文化・社会面の変化
むすび 

第19章 ムアンシンの写本文化/ 飯島明子
はじめに
①ラオ写本保存プログラム 
② 現地調査ノートから 
③ 生きている写本文化 
④ムアンシン略史 
おわりに

第20章 東北タイとラオス/ 林行夫
はじめに
①ラオス・タイ関係の現状 
②イサーンの現在 
③ラオの分離・イサーンの創出 
④人々の往来 
むすびにかえて 

【索引】
人名索引
地名索引
歴史・文化・宗教索引
政治・経済・社会索引
【地図】
ラオス全図 
北部ラオス地図 
中部ラオス地図 
南部ラオス地図 
ラオス・中国・ビルマ・タイ国境地帯地図 

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