カンボジアでもっともポピュラーな民話11編を訳出し、その社会的・歴史的背景を詳しく解説しました。日本でいえば「舌きりすずめ」、「桃太郎」のような、古い昔から語り継がれてきた民族の心が詰まった物語ばかりです。解説では、そこからクメールの歴史、生活環境、道徳、価値観などを読み取り、「クメールの心」に迫ります。最近急増しているカンボジア・ファンから待望の声が高かった本です。
【目次】
はじめに
動物の物語
村の水牛と森の水牛
カラスはシギの敵
村のカラスが森のカラスに教える
毒を吐き出したニシキヘビ
オオカミとカメ
村のスズメと森のスズメ
解題
動物と人間の物語
欲張りな人
男が結婚を娘に申し込む
解題
人間の物語
二人の隣人
女の世渡り
怠け者の完璧な妻
解題
カンボジアの民話世界とクメール人の世界観
1カンボジア近代史と民話の「発見」
2フランス植民地以前のカンボジア社会と民話の世界
森と動物の物語
農民の世界観と価値観
民話に見られる人間関係
3クメール人の空間認識
「村(スロック)」と「森(プレイ)」
クメール人にとっての「森」
あとがき