シルクロード全4道の旅

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鎌澤久也著
定価2500円+税
A5判並製144ページ・オールカラー/2005年初版
ISBN4-8396-0186-0 C0030 Y2500E



 10年以上にわたってシルクロードの隅から隅までを歩いてきた写真家鎌澤久也さんが4つのルート――「河西回廊」「天山北路」「天山南路」「西域南道」をすべてガイドします。最新の写真、最新の情報。シルクロードを旅するすべての人に。
 河西回廊(蘭州−酒泉−敦煌−ハミ)
 天山北路(ハミ−ウルムチ−イリ)
 天山南路(ウルムチ−トルファン−コルラ−クチャ−カシュガル)
 西域南道(コルラ−ホータン−カシュガル)


【目次】

◇1◇西安と河西回廊
西安(シーアン)/ 河西回廊/蘭州(ランジョウ)/武威(ウーウェイ)/張掖(ジャンイエ)/酒泉(ジュチュエン)/嘉峪関(ジアユーグァン)/敦煌(ドゥンホアン)

◇2◇天山北路
ウルムチ(烏魯木斉)/天池(ティエンチー)/南山牧場(ナンシャンムーチャン)/ハミ(哈密)/イーニン(伊寧)/サリム(賽里木)湖/恵遠城(ホイユエンシァン)/天山越え(バインブルグ〈巴音布魯〉草原)

◇3◇天山南路
トルファン(吐魯番)/コルラ(庫爾勒)/クチャ(庫車)/アクス(阿克蘇)/カシュガル(喀什)/カラクリ湖/鉄道の旅

◇4◇西域南道
ヤルカンド(莎車)/ホータン(和田)/ケリヤ(于田)/ニヤ(民豊県尼雅鎮)/チャルチャン(且末)/チャルクリク(若羌)/

【資料】シルクロードの民族・都市地図(20ヵ所)・汽車情報・バス情報・宿泊情報 。


【著者プロフィール】

鎌澤久也(かまざわ きゅうや)
中国雲南省を中心にアジアを撮り続ける。近年はメコン川、長江など、川をテーマにそこに暮らす人々に焦点を当てている。「メコン街道」など写真展を多く開催。
□著書
『シーサンパンナと貴州の旅』(めこん)
『雲南最深部への旅』(めこん)
『メコン街道』(水曜社)
『雲南』、『藍の里』、『南詔往郷』、『雲南・カイラス4000キロ』(平河出版社)
『玄奘の道・シルクロード』(東方出版)
『写真家はインドをめざす』(青弓社、共著)など


【まえがきより】

 シルクロードという名を初めて耳にしたのはいつのことか忘れてしまったが、この言葉を聞くと、なぜか郷愁を掻き立てられる。優しい響きとともに、異国への憧れや、ラクダの背に揺られ、月の砂漠を行き交う、キャラバンサライの幻想的な光景が目に浮かぶからなのだろうか……。
 そもそもシルクロードとは、ドイツの地理学者リヒト・ホーフェン (1833―1905)が、東西交易のルートを指して呼んだのが始まりで、主要な交易物として絹が中国から西洋に運ばれたのが、その名の由来である。
 紀元前にまでさかのぼる悠久の歴史を持ち、中国から中央アジアを経て、トルコのイスタンブール、イタリアのローマまで通じるこの街道は、陸路と海路がある。しかし、一般にシルクロードと言えば陸路を指す。ただし、その陸路もステップルートとオアシスルートに分かれる。ステップルートとは、ユーラシア大陸北方の、草原地帯を通り西洋まで続く街道だ。一方、オアシスルートは、砂漠地帯に点在するオアシス都市を経由した通りである。  中国国内のシルクロードは、西安、蘭州から「河西回廊」を通ってウルムチに至り、そこから三本のルートに分かれる。即ち、天山山脈を境に、「天山北路」と「天山南路」、そしてタクラマカン砂漠の南、崑崙(クンルン)山脈の北麓を行く「西域南道」である。この四道にはそれぞれ特徴がある。河西回廊は古い歴史を持ち街々が続き、天山山脈を挟んだ北路は緑豊かな草原地帯。一方南路は砂漠に点在するオアシス都市である。そして西域南道は廃墟の王国跡が点在する、風砂の厳しいところである。
 シルクロードは東西文明の架け橋としても意義が大きい。遠い異国の地のようにわれわれ日本人には感じられるが、六世紀に伝わった仏教は発祥の地インドからシルクロードを通じて入っており、少なからず日本も影響を受けているのである。
「文明の十字路」とは、言い古された言葉だが、この地で名のある都市は、例外なく交易の中継地として長い歴史を有している。しかし、栄枯盛衰も激しく、ある街は遺跡となって人影はなく、またある街はいま現在も繁栄を謳歌している。
 シルクロードが旅人に人気があるのは、エキゾチックな風物もさることながら、この地に立って風のざわめきに身をまかせれば、変転の歴史を生きた人々の波乱の人生が実感できるからであろう。  

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