タイ事典

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日本タイ学会編
定価5000円+税
A5判・上製・560ページ
ISBN978-4-8396-0226-0 C0522

【関連書】道はひらける――タイ研究の五〇年 現代タイ動向2006-2008 タイ仏教入門  タイの染織
タムノップ――タイ・カンボジアの消えつつある堰灌漑 タイ農村の村落形成と生活協同  イサーンの百姓たち タイの象 タイ人と働く 現代タイ動向  バンコクバス物語 タイ鉄道旅行 やすらぎのタイ食卓
 バンコクの好奇心 タイの花鳥風月

日本タイ学会創立10周年記念・日タイ修好120周年記念

 タイ研究者140名が総力をあげて作りあげました。執筆項目830――政治、地理、歴史、経済、国際関係などからポップカルチャーまで、タイに関するあらゆる事項を網羅。概論、統計、資料、文献案内も充実しています。タイ文字の見出し付き。写真多数。装丁菊地信義。


【構成】

●総説…地理・歴史・民族・言語・政治・行政・経済・産業・社会・宗教・文化・美術・文学・教育・観光・交通・国際関係・日タイ関係の概論
★項目…タイに関する830の項目を各分野の専門家が執筆
●主要統計…人口・面積・経済指標・労働人口・農産物生産量・鉱産物生産量・国家財政・教育・社会指標・在留邦人数など、38の最新統計
●資料…国歌・年表・歴代首相・行政機構・警察組織・宗教機構・教育制度・気候・祝祭日・度量衡など、わかりやすい21の図表
●文献案内…1990〜2008年に日本で出版されたタイ関係の書籍を網羅

日本タイ学会

1999年に創立され、今年10周年を迎える。会員は若手研究者を中心に200名を超え、文字通り日本における「タイ学」の中心となっている。夏の研究大会と『年報タイ研究』を活動の核とし、タイの学界との交流にも力を入れている。現会長は末廣昭東京大学教授。http://thai.chiiki.tsukuba.ac.jp/ 【執筆者】

青木伸也/赤木 攻/秋篠宮文仁親王/秋道智彌/浅見靖人/綾部真雄/飯島明子/飯田順三/飯田淳子/池本幸生/池谷和信/
石井米雄/石田正美/泉 経武/市野沢潤平/伊藤友美/今泉慎也/岩城考信/岩佐淳一/上田曜子/宇戸清治/江藤双恵/遠藤 元/
遠藤 環/圓入智仁/大泉啓一郎/大野 浩/尾中文哉/香川孝三/柿崎一郎/笠井直美/柏原邦彦/梶原俊夫/片岡 樹/加藤和秀/
加藤久美子/加藤眞理子/加納 寛/川口洋史/河森正人/菊池陽子/岸守 一/北原淳/倉島孝行/黒田景子/小泉順子/斉藤百合子/
櫻井義秀/阪口秀貴/坂本比奈子/佐々木 創/佐藤一朗/佐藤 仁/佐藤正文/佐藤康行/重冨真一/柴田和夫/渋川浩一/清水郁郎/
末廣 昭/鈴木規之/鈴木康郎/鈴木佑記/須永和博/スネート・カンピラパープ橋本泰子/園江 満/高井康弘/高橋勝幸/高橋正樹/
高橋美和/高橋由典/竹内隆夫/谷口裕久/玉田芳史/土屋了子/東京女子大学/永井史男/中島マリン/中嶌知義/中須 正/
中園優子/南原 真/新見道子/西井涼子/西澤希久夫/新田栄治/野津幸治/野津隆志/野中健一/野中耕一/馬場雄司/林謙一郎/
速水洋子/東 茂樹/東 智美/菱田慶文/平田利文/平松秀樹/深見純生/福井捷朗/福田 升/藤田 渡/不二牧駿/安部鶴代/堀内 孜/
牧 貴愛/前川健一/増田えりか/益田 岳/増野高司/松井智子/松園祐子/松野洋平/松村 洋/松本 淳/三重野文晴/三上直光/
水谷光一/峰岸真琴/宮島良明/宮田敏之/宮本マラシー/村上忠良/村嶋英治/村田翼夫/森下 稔/矢野秀武/山尾政博/山影 進/
山岸 哲/山田 均/山本博史[茨城大学]/山本博史[元東洋大学]/湯浅浩史/吉岡みね子/吉川利治/吉田千之輔/吉野 晃/吉原和男/
レーヌカー・ムシカシントーン/渡辺弘之


【たとえばあ行だと次のような項目が載っています】
愛国党
挨拶
アイティー産業
アカ
アーカートダムクーン・ラピーパット(殿下)
アクメクス(ACMECS)
アグロインダストリー
アセアン(ASEAN)
遊び
アーチン・パンチャパン
アッシリ・タムマチョート
圧力集団
アーナン・パンヤーラチュン
アヌ(王)
アヌマーンラーチャトン,プラヤー
アピシット・ウェーチャーチーワ
アピチャートポン・ウィーラセータクン
アフタ(AFTA)
アヘン
アムナートチャルーン
アユッタヤー
 ……



【はじめに】より

 グローバル時代を迎えたとはいえ、日本にとってアジア諸国との関係はますます重要になってきている。「近隣」という地政学的条件は、いつの時代であれ、何よりも明確で大きく動かせない社会変動の変数である。おそらくは、政治経済や安全保障の面のみならず学術・文化面などを含めたアジアとの総合的関係が、今後の日本のあり様を大きく規定するであろう。わたしたちは、これまでもアジアへの関心を高め、アジア理解への努力を重ねてきたが、これからも相互交流のさらなる増進を基本に置きながら、アジア隣人との付き合いを深めていかねばならない。グローバル時代を迎えたとはいえ、日本にとってアジア諸国との関係はますます重要になってきている。「近隣」という地政学的条件は、いつの時代であれ、何よりも明確で大きく動かせない社会変動の変数である。おそらくは、政治経済や安全保障の面のみならず学術・文化面などを含めたアジアとの総合的関係が、今後の日本のあり様を大きく規定するであろう。わたしたちは、これまでもアジアへの関心を高め、アジア理解への努力を重ねてきたが、これからも相互交流のさらなる増進を基本に置きながら、アジア隣人との付き合いを深めていかねばならない。
 日本とアジア諸国の間の二国間関係を取り上げてみると、日・タイ関係は飛び抜けて長い友好の歴史を有していることがわかる。19世紀半ばころからアジア地域が押しなべて西欧諸国の植民地と化した中で、両国とも独立を維持し国家として存続してきたことをその背景として指摘できるかもしれない。実際、日タイ両国民は2007年には「日タイ修好120周年」を相互に祝い合い、これまでの友好を確認し、未来に向けたさらなる友好の増進を誓い合ったのである。こうした二国間関係は稀有であり、日本にとってタイはそれだけ特異な存在であるともいえよう。
 そのタイを研究対象とする日本で唯一の人文社会科学分野の学会が、「日本タイ学会」である。日本タイ学会は、1999年(設立総会は98年7月)に発足し今年でちょうど創立10周年を迎えるが、その前身である「タイ・セミナー」研究集会時代を加えると、20年近い歴史を有する。現在では200名を超える様々な分野のタイ研究者が集う中心に成長し、研究誌『年報タイ研究』を刊行するなど、わが国における「タイ学Thai Study」の水準の向上に努力している。
 本書の刊行は、その日本タイ学会の創立10周年記念事業として企画された。研究者のみならずタイに関心をもつ一般の方々を対象にしたタイ理解促進のための事典を刊行し、ここ10年間の学会の成長を世に問おうという意図である。実は、この類のものとしては、「東南アジアを知るシリーズ」のひとつとして刊行された『タイの事典』(石井米雄監修、石井米雄+吉川利治編集、同朋舎出版、1993年)があり、その大幅な改訂出版を考えたが、出版元が存在しないということで、新しい出発となった。もちろん、この先達による事典をずいぶん参考にさせていただいた。この場を借りて、謝意を表する次第である。
 当然のことながら、編集の基本方針は、タイにおけるここ約20年の間のあらゆる分野における大きな変革の反映におかれた。基本的情報は網羅した上で、とりわけ変動が著しい政治、仏教、教育、環境、経済(工業)、農村、日タイ関係などの分野に特別の配慮をはらい、ポップカルチャーなどの若者文化もとりいれ、かつ文学分野などの充実を図った。また、1990年から2008年までの間に出版された書籍を中心に所収した「タイ関係主要文献目録」を作成した。執筆者も、可能な限り広く専門家を求め、分野によっては学会員以外の方にもご協力をお願いした。…

日本タイ学会『タイ事典』編集委員会代表 赤木攻

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