ベトナム検定 公式テキスト

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小高 泰監修
定価2000円+税
A5判並製・224ページ
ISBN978-4-8396-0242-0 C0030

【関連書】ベトナムのこころ――しなやかさとしたたかさの秘密 ベトナム戦争の戦後  ベトナム革命の素顔  ベトナムの皇帝陶磁   

2011年3月12日全国4ヵ所(東京、大阪、名古屋、福岡)で「ベトナム検定」が行なわれます。本書はその公式テキストです。
まずは小手調べ。いずれも口絵のキャプションの質問です。
★ 「龍が降り立った地」という意味の景勝地の名前は?
★ 赤レンガが美しいサイゴン大教会。サイゴンがホーチミン市に改名されたのは何年ですか?
★ 毎月旧暦の14日に「ランタン祭り」と呼ばれるロマンチックなイベントが行なわれるのはどこでしょうか?
★ ホーチミン市のチョロンは中国人が作った町です。ここで話されている中国語は何方言でしょうか?
★ ベトナム女性といえばすぐ思い浮かぶのがアオザイと「ノン」と呼ばれる日除け笠です。ノンはどの地方の特産品でしょうか?
★ 南シナ海には主権をめぐって係争中の島が数多くあります。油田や天然ガスが豊富で中国、フィリピンともめている群島の名前は?
★ ベトナムは男性に徴兵制度があります。18歳〜25歳の間に何ヵ月入隊することになっていますか?


自分のベトナム度を確かめながら読むうちに、本物の「ベトナム通」になります。
ベトナム検定問題の80%はこの本から出ます。
【執筆者】
【監修】  小高 泰【拓殖大学講師】
【執筆】 石井 彩子 【早稲田大学大学院】
石川 文洋 【報道写真家】
梅本 千佐子 【日本語教師(在ハイフォン)】
遠藤 聡 【共立女子大学講師】
大西 和彦 【ベトナム宗教研究院客員研究員(在ハノイ)】
小高 泰 【拓殖大学講師】
木村 聡 【フォトジャーナリスト】
栗木 誠一 【NHK国際放送局】
小豆島 正典 【日本ベトナム友好協会副理事長】
鈴木 朋美 【早稲田大学大学院】
関本 紀子 【東京外国語大学大学院】
芹澤 知広 【奈良大学准教授】
高岡 弘幸 【県立福岡大学教授】
竹田 遼 【フリーライター(在ダラット)】
中野 亜里 【大東文化大学教授】
中村 梧郎 【報道写真家】
新妻 東一 【三進ベトナム(在ハノイ)】
西村 昌也 【関西大学助教】
松島 よしお 【音楽家】
三牧義明【ASEAN検定事務局】


【監修者はこんな人】
小高泰(おだか・たい)
1966年旧サイゴン生まれ。東京外国語大学大学院修士課程修了。1992年から1993年まで文部省留学制度でハノイ総合大学(当時)史学部留学、同時にベトナム国防省軍事史研究所にて受講。1994年から1996年まで在ベトナム日本国大使館専門調査員。同大使館政務班にて現代ベトナム政治情勢の分析・調査を担当。これまで主にドイモイ路線下のベトナムの変化を人民軍隊や国防政策などの視点から調査、分析。また、ベトナム戦争後からドイモイにいたる配給制度時代の国民生活の実態とドイモイとの関係、来日するベトナム人労働者と労働移動の問題などの調査も行なっている。現在、拓殖大学言語文化研究所や敬愛大学、早稲田大学などで主にベトナム語講座などを担当。
主な著書に『ベトナム人民軍隊 知られざる素顔と軌跡』(暁印書館 2006年)、共著『会話で覚えるベトナム語666』(東洋書店 2005年)、『ベトナム戦争の「戦後」』(めこん 2005年)、『入門東南アジア現代政治史』(福村出版 2010年)などがある。


【内容】

第1章 観光地と世界遺産 
ハノイ旧市街 古きよき時代と戦争のあと 
ホアンキエム湖 英雄と大亀 
ホー・チ・ミン廟 社会主義を実感する場 
ハイフォン 歴史の面影残る北の玄関口 
ハロン湾 龍が降り立った伝説の地 
フエ 王朝の栄華を偲ぶ 
ホイアン 水辺のノスタルジア 
ミーソン聖域 聖地と戦地の歴史 
フォンニャー洞窟 ラオス国境の神秘の洞窟 
ホーチミン市 「東洋のパリ」と呼ばれたベトナム一の商都  
チョロン 広東語の聞こえる街 
ニャチャン 美しいビーチが点在する中南部の海岸線へ 
サパ 少数民族のパラダイス 
コラム ハイヴァン峠

第2章 戦跡めぐり 
ディエンビエンフー 歴史を変えた地 
17度線地域 南北が睨み合った最前線 
ホーチミン・ルート いまだ謎が残る密林の道 
チュオンソン墓地とケサン カストロも訪問した激戦地 
ホーチミン市 ゲリラ戦の恐怖が味わえる 
コラム サンヘルメット

第3章 歴史  
ドンソン文化の時代 百越の王、安陽王伝説と考古学のはざま 
北属時代 中国支配と独立への胎動 
交易の時代 朱印船貿易の中心地ホイアン  
フランス植民地時代 独立運動からインドシナ戦争へ 
仏印時代 日本軍の進駐と仏印処理 
抗仏戦争と独立 日本への期待と失望 
ベトナム戦争 統一への苦しみ、アメリカとの戦争 
ベトナム戦争報道 世界中のジャーナリストが集まった 
枯葉作戦 今も続くべトナム戦争の後遺症 
ベトナム戦争後 中越戦争とカンボジア問題
配給制度時代 不自由な暗い日々 
コラム タンロン遺跡とハノイ1000年大記念祭

第4章 地域と産業
テイグエン 中部高原の知られざる世界 
ダラット ラストエンペラーの愛したリゾート 
南シナ海 係争の島々 
メコンデルタ 東南アジア最大の河川が作る豊穣の大地 
カントー メコン川流域の経済と文化の中心 
ダナン 東西回廊の起点となる中部最大の都市 
米 輸出は世界第2位 
ニュクマム ベトナムの母なる調味料
お茶 タイグエンが一番 
漆絵 よみがえった伝統工芸 
南部の果物 急成長の輸出の花形 
マングローブ 破壊と再生を経験した「海の森」 
コラム 緑豆のお菓子

第5章 第5章 祝祭日
テト ベトナム人が最も大切にする旧正月 
雄王記念祭 ベトナム最初の王の命日 
革命と戦争関連の祝日 やはり社会主義の国なのだ 
中秋節 いまや子どものためのお祭り 
コラム ホイアンのランタン祭り

第6章 政治と経済 
ベトナム共産党 政党が国家を上から指導 
共産党員 革命的倫理観を維持しながら出世を目指す 
計画経済から市場経済へ 悪しき平等から自由へ 
海外在住のベトナム人 越僑から花嫁まで 
ベトナムブーム 860社の日本企業が進出 
コラム 革命の北、消費の南

第7章 外国との関係 
中国 かつては「歯と唇の関係」と言われたが 
フランス インドシナから去って既に半世紀以上 
アメリカ あれほど憎んでいたのに 
ソ連と東欧諸国 いったん切れたはずだったのに 
ラオス・カンボジア・タイ 隣人どうしの複雑な歴史 
コラム ベトナムで出会う日本の文化

第8章 日常生活 
シクロ、バイク、バス ベトナム人は歩かない 
中・長距離交通 鉄道にするかバスにするか 
住宅事情 建築ブームの到来 
国の守り 高校から軍事教練  
教育 白い制服は甘酸っぱい思い出 
おしん 家政婦不足の時代 
女性 夫に尽くす、でも怖い 
挨拶の習慣 「ありがとう」の示しかた 
勤勉 定着したイメージだが 
プライド 日本人には理解しにくい 
警戒心 革命闘争の遺物 
コラム モノ売り

第9章 食文化 
フォー スープだけは他人に任せられない 
北部料理 しょっぱい 
中部料理 超辛い
南部料理 甘辛 
犬肉 伝統文化と誇るのはためらう
アヒルの卵 健康のためにはこれが一番 
ハム いくつもの用途がある伝統料理 
ちまき 世界で最も美味なるもの 
飲み物 ビールもうまい、ジュースもうまい  
チェー 目移り必至!今日は何チェーにする? 
コラム ライスペーパー


第10章 信仰としきたり 
仏教と寺院 挨拶は「阿弥陀仏」 
民間信仰 人々の暮らしの中に息づく神々
結婚 パートナーは自分で探す 
葬式 なぜ、棺桶の蓋が開けっ放しなのか? 
コラム 北部の洗骨式 


第11章 スポーツ・文化 
人気のスポーツ やっぱりサッカー 
賭け事 そこまで熱くなるか  
マスコミ ケーブルテレビとネットが普及  
音楽 赤い音楽と黄色い音楽 
新聞とネット 無軌道さが活気を呼ぶ 
文学 戦場日記がブームに  
ファッション 長い足の女の子たち 
アオザイ ベトナム人の誇り 
ベトナム人こだわりのノン・ラー


第12章 ことば 
私とあなた 呼び方を間違えると大変 
ベトナム語と漢字 似ているが落とし穴も 
発音 会話はメロディー 
方言 南部女性は北部男性の言葉に聞き惚れる 
コラム 微妙な発音違い


★ベトナム検定 模擬テスト 
★ 解答 
【まえがき】より
■ベトナム的パワーを知る楽しさ

 初めてベトナムに接した人の多くは、ベトナム(人)に親近感を抱くそうです。現地でおいしい料理を食し、人々の温かい人柄に触れて感動し、そして、何か底知れぬパワーをそこで感じる。だから、また行きたくなるというのです。他方、長く住む人々は、そのパワーに圧倒される魔物的なものを感じ、温かいけどドライな側面にも遭遇します。最初のイメージと現実との乖離に驚くわけですが、それでもまたつい住みたくなると言います。きっと、ベトナム(人)には日本人を引寄せる「魔物=魅力」が潜んでいるような気がします。
 思えば、ベトナムは一般の日本人にとって、それほど近い国ではありませんでした。むろん、ベトナム戦争期の反戦運動によって精神的な絆が築かれたことは確かです。ところが、戦争と経済混乱、そして鎖国政策がベトナムへのアクセスを困難にし、実際にその素顔に触れる機会はほぼ失われました。
 しかし、その距離はこの10数年で確実に縮みました。90年代から浸透し始めたドイモイが契機になり、ベトナム経済が短期間で発展したからです。人やモノ、情報、カネの急速な移動が、対ベトナム投資、ODA拡大、そして日本でのベトナム雑貨、料理、観光ブームへとつながりました。
 とはいえ、勢いある経済発展は、当のベトナム人ですら未体験のものでした。長く困窮を極めた時代から、突如ビジネスチャンス溢れる環境に足を踏み入れたため、人々も毎日初めての出来事に遭遇しているのです。そこには「伝統と現代」の衝突、「政治思想と経済制度」とのバランスの問題、人々の価値観の変化等々の諸要素が折り重なるように交錯しています。日本人は、まさに変化の真っ只中にいるベトナム(人)と関わりを持ち始めたと言ってよいでしょう。
 そうした変わりつつあるベトナムであるが故に、現地では様々な表情を見て取ることができます。もしかしたら、それらが我々を魅了するのかもしれません。この『ベトナム検定』テキストは、そうしたベトナムの内なるパワーを、ベトナム人的発想と日本人的視点とに立脚してまとめています。これからベトナムに行かれる方、もっとこの国を知りたい方にとって、このテキストがベトナムの国と人々の魅力を堪能できる手引きになることを願ってやみません。
小高泰

 

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