タイのしきたり

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 中島マリン著

 定価2000円+税
 四六判並製・242ページ
 ISBN978-4-8396-0254-3 C0030

 【関連書】タイ人と働く   挫折しないタイ文字レッスン  タイ語で出そう!グリーティングカード

   



【見開きページ】

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 タイ人と付き合う時にはこれだけは知って起きたい…
 タイの習慣、マナー、冠婚葬祭、祝祭日など、タイで暮らすための「常識」をわかりやすく解説しました。たとえば、正しい挨拶のしかたは…、食事の時のマナーは…、結婚式に招待されたら…、お葬式の時は…、出家式ってどうやるの…、タイの「父の日」っていつ…、仏教関係の祝日とは…、誕生日の曜日の色って…。
 一読、「ああ、そうだったのか」とあなたの疑問は氷解するでしょう。
 タイに行く時、暮らす時、必携の書です。


【目次】

第1章「信仰と日常生活」
第2章「マナー」
第3章「家庭行事」
第4章「年間行事」


【まえがき】

 タイは今、観光地として大変人気を得ています。活気あふれるエキゾチックな街並み、きれいな 海、歴史を感じさせる寺院、神秘的な遺跡がたたずむ古都、舌が火を噴きそうな激辛の料理に、屈 託のない人々の笑顔。さらに急成長する経済も大きな魅力で、タイを訪れる日本人旅行者は、毎年 一〇〇万を超えています。この数はハワイ、台湾とほぼ同じで、日本人の旅行先人気度でタイは常 にベスト5以内をキープしています。また外務省の統計によると、平成二二年度に在タイ日本大使 館に正式に届け出た日本人在住者の数は四万七二五一人。その中には、物価の安さなど、タイの暮 らしよさに惹かれて移住した年金生活者も多数います。
 タイは日本と同じアジアの国。住んでいる人々の目の色も髪の色も同じ黒か茶で、顔立ちもなん となく日本人と似ています。信仰している宗教も日本と同じ仏教です。そんなこともあってか、日 本人はタイ人が親しみやすく感じるようです。
 ところが、いったんタイの社会へ入って生活してみると、なぜか最後の一歩のところでタイ人の 中に入り込めないと言う日本人がよくいます。タイ語を一生懸命勉強して言葉は通じるのに、深い部 分で分かち合えないものがあるというのです。タイ人と結婚した日本人からも、長年一緒に暮らし てきたのに、連れあいが何を考えているのかわからなくなる時があるとこぼされることがあります。
 しかし、日本人のほうだけがそう感じているわけではないのです。実はタイ人も日本人に対し て同じようなことを感じる時があります。外見が似ていても、歴史や自然環境、社会の構造は違う のですから、両者の考え方や感じ方が微妙に異なるのは当然なのでしょう。いくら言葉が通じても、 相手の考え方の背景にあるものを理解していないと、つらい思いをすることになったり、せっかく 築いた関係にほころびができたりするのです。背景にあるものを全部知るのは不可能ですが、最低 限の違いを知ること、そして尊重することで、おたがいの関係はずいぶんとスムースになるのでは ないでしょうか。「しきたり」を理解するのはその第一歩だと考えます。
 わたしはタイ人の父と日本人の母の間に生まれて、高校を卒業するまでタイ人として育ちました。 タイ人の学校に通い、「仏教の日」(17ページ参照)には祖母や父とよくお寺へ行っていました。親 しい友人も皆タイ人です。日常生活の中で日本人と関わるのは母と母の友人ぐらいだったので、タ イに住んでいた頃は日本人の考えや習慣がよく理解できず、母にもよく反発していました。
 高校卒業後、わたしは日本に留学し、その後日本で就職をしました。現在は大学でタイ語を教え、 通訳の仕事もしています。会社勤めではタイの感覚との違いを感じ、なぜそうなのか不思議に思っ たことが何度もありました。また、いくら言葉が通じるようになっても、相手の文化や価値観を理 解していない限り真にわかりあえるのは難しいことにも気づかされました。こうした経験が、この 本を書く出発点になっています。
 日本人とタイ人がお互いの「しきたり」を理解し、尊重して、お互いの関係がより良いものにな りますように。


【著者はこんな人】

中島マリン(なかじま・まりん)
タイ人と日本人の両親を持ち、高等学校卒業までをタイで過ごす。
早稲田大学第一文学部卒業。タイ語・日本語ともにネイティブで、各種国際会議通訳、司法通訳などを務める。
成蹊大学非常勤講師、昭和女子大学オープンカレッジのタイ語講師。タイで日本のコミック本を翻訳。
著書『間違いだらけのタイ語』(共著、めこん)、『挫折しないタイ文字レッスン』(めこん)、『タイ語で出そう!グリーティングカード』(めこん)、『タイ検定』(共著、めこん)、執筆協力『わがまま歩き 旅行会話 タイ語+英語』(ブルーガイド社)など。


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