上座仏教事典

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 パーリ学仏教文化学会上座仏教事典編集委員会編

 定価12000円+税
 A5判上製686ページ・カラー口絵32ページ
 ISBN978-4-8396-0299-4 C3515
 
             

仏典研究と地域研究の両面から上座仏教を総合的に解説した大著。
執筆者103名。総説編・項目編・資料編から構成されています。
【総説編】では上座仏教の聖典・教義、修行・儀礼の実際などの教理面から、スリランカ・ミャンマー・タイ・ラオス・カンボジアにおける上座仏教の歴史と実践形態、社会との関わりまで、幅広く解説。(項目編)は用語・人名・地名・仏典など735項目を収録。【資料編】は聖典・文献・教理など、特にパーリ語のものが充実しています。
仏教学研究者、東南アジア研究者、南アジア研究者に必読の書です。

【パーリ学仏教文化学会】 Society for the Study of Pali and Buddhist Culture
1986年10月設立(前身は 1977年4月設立のパーリ文化研究会)。パーリ聖典などに関する仏教学研究や、上座仏教の歴史・文化・社会などに関する研究調査を行う研究者を中心とした学術団体。日本学術会議協力学術研究団体に所属。



【目次】
口絵……インド、スリランカ、ミャンマー、タイ、ラオス、カンボジア、その他
巻頭言……前田惠學
序文……奥田清明
前田惠學先生・石井米雄先生に捧ぐ……片山一良
祝辞……マヒンダ・ラージャパクシャ 第6代スリランカ大統領
編集委員一覧
執筆者一覧
口絵写真の提供者一覧
項目編写真の提供者一覧
凡例

総説編
序 章 上座仏教とは
第1章 パーリ聖典と関連文献
第2章 教えと実践
第3章 出家者の世界
第4章 上座仏教の信仰と文化
第5章 各国・地域の上座仏教
第6章 上座仏教と国家
第7章 上座仏教と他の信仰
第8章 特別寄稿:上座仏教の日本における展開

項目編(735項目)

資料編
1パーリ語学習の手引き
2パーリ語学習のための文法書・辞典類
3パーリ語表記文字一覧
4「仏礼拝文」パーリ語による各国文字表記
5パーリ三蔵各国版構成一覧
6パーリ語による文献(三蔵、㊟釈書類、その他関連文献)
7パーリ戒律一覧
8心・心所法の分類(『摂阿毘達磨義論』による)
9八十大弟子一覧
10過去二十四仏(二十五仏)・ 過去七仏に伝わる主な事蹟
11上座仏教における三十二大人相の事例
12上座仏教における八十種好の事例
13上座仏教圏諸国の現行憲法における宗教関連規定
14世界遺産と仏教(南アジア・東南アジア、2014年まで)
15年表
16参考文献略記(総説編)
17参考文献略記(項目編)
18参考文献一覧

編集後記
索引



【巻頭言】
 日本の仏教学会に「上座仏教」 に関する事典が出版されることは、自然の勢いであった。パーリ学仏教文化学会の機関誌である 『パーリ学仏教文化学』に続けて、日本で初めて上座仏教を正面から取り上げて一冊の書物とすることができることとなった。
 『上座仏教事典』の編纂は、パーリ学仏教文化学会の仕事として、いつかはやらねばならないことと、私は長い間考えていた。事典編纂の願いがあることを漏らしたところ、 学会の仕事として取り上げてはどうか、新執行部がその任に当たってもよいとの報に接した。誠に有り難いことである。
 「事典」は「辞典」とは異なる性格を有する。また、多くの知を集める必要がある。その知は過去から現在にわたり、世界の各地域に及ぶことになる。われわれの力の及ばぬところもあるかも知れない。いずれ今後、研究調査が進めば、その段階で改訂版を 作ればよい。継続は力である。まずは礎石を打ち込むことである。それは、現在の時点での事典の編纂によって、今日までの上座仏教の研究がどこまで進んできたか、成果を問うことになるであろう。
 ただ残念なことは、私自身は言い出しておきながら、何の貢献もなしうることができなかった。申し訳ない次第である。私は、言い出してすぐに発病し、最悪の告知を 受けてからすでに1年半を超えている。今では事典のための執筆も不可能である。 多くの関係諸氏の全幅のご協力を頂いたことを深く感謝している。
2010年10月23日  前田惠學  紫雲閣にて

【序文】
 パーリ学仏教文化学会は故前田惠學会長により設立され、その活動は、前身である「パーリ文化研究会」 の期間を含めて、すでに30年余が経過し、活動内容も多岐にわたりつつあります。このような長年の活動成果を踏まえ、本学会はこの度、『上座仏教事典』の刊行を企画いたしました。この事典は、上座仏教の聖典・教理面や修行・儀礼の実際のみならず、スリランカ・ミャンマー・タイ・ラオス・カンボジアおよびその周辺地域における上座仏教の実践形態や社会との関わりについて、過去から現在まで幅広く紹介するものであります。 またわが国には、いわゆる「大乗仏教」と呼ばれる伝統的な諸宗派やさまざまな仏教形態が知られますが、近年、「上座仏教」という釈尊の純粋かつ明瞭な教えに関心をもち、これに精神的支柱を求める人々も徐々に増えております。なかには上座仏教圏の 国々に出かけて出家する人々もおりますし、上座仏教の比丘による欧米やアジア諸国 における布教活動も展開されており、諸外国で入信する人々も少なくありません。さらには、わが国と上座仏教圏諸国との関係も、あらゆる分野で密になりつつあり、 経済面やNGO活動だけでなく、この地域に携わる研究者や大学での授業も増えてまいりました。このような時代におきましては、上座仏教について最新の研究成果を集め、質の高い事典を作成していくことは、学問の発展に留まらず、広く社会的に有益であると、編集委員ならびに学会員一同、強い思いを抱いております。また、事典刊行を見ることなくご逝去されました、当学会初代会長の前田惠學先生ならびに顧問の石井米雄先生には、事典企画の段階からご指導をいただいており、両先生ともに刊行を大変心待ちにしておられました。当事典の刊行は、前田先生と石井 先生のご遺志を継ぐものでもあります。 以上を鑑みまして、今ここに私どもが学会より 『上座仏教事典』を刊行することは、まことに時宜に適うものと言えるでしょう。
2015年12月1日  パーリ学仏教文化学会 会長 奥田清明(聖應) 
………


【編集委員】(肩書は2016年3月31日当時)
青木保 国立新美術館館長、元文化庁長官。
池上要靖 身延山大学仏教学部教授。
池田正隆 一般社団法人日本・ミャンマー友好協会相談役。
池田練太郎 駒澤大学仏教学部教授。
石上和敬 武蔵野大学法学部教授。
榎本文雄 大阪大学大学院文学研究科教授。
及川真介 常円寺日蓮仏教研究所所長。
奥平龍二 東京外国語大学名誉教授。
奥田清明(聖應) 四天王寺大学名誉教授、パーリ学仏教文化学会会長、総本山四天王寺長老・第111世前管長。
片山一良 駒澤大学名誉教授。
桂紹隆 広島大学名誉教授。
神谷信明 岐阜市立女子短期大学名誉教授。
橘堂正弘 椙山女学園大学名誉教授。
久間泰賢 三重大学人文学部准教授。
小林圓照 花園大学名誉教授。
笹川秀夫 立命館アジア太平洋大学アジア太平洋学部教授。
佐々木閑 花園大学文学部教授。
佐藤良純 大正大學名誉教授。
釈悟震 (公財)中村元東方研究所専任研究員・東方学院講師、中村元記念館東洋思想文化研究所副所長。
武田龍 同朋大学仏教文化研究所客員所員。
龍口明生 龍谷大学名誉教授。
田辺和子 (公財)中村元東方研究所顧問、愛知学院大学非常勤講師。
玉井威 同朋大学大学院人間福祉研究科特任教授。
浪花宣明 中村元東方研究所研究員。
並川孝儀 佛教大学仏教学部教授。
奈良康明 駒澤大学名誉教授。
西尾秀生 東方学院講師、元近畿大学文芸学部教授。
馬場雄司 京都文教大学総合社会学部教授。
羽矢辰夫 青森公立大学経営経済学部教授。
藤井正雄 大正大学名誉教授。
藤本晃 誓教寺住職。
古山健一 曹洞宗総合研究センター専任研究員兼講師、駒澤大学仏教学部非常勤講師。
細田典明 北海道大学大学院文学研究科教授。
前田惠學 愛知学院大学名誉教授、パーリ学仏教文化学会初代会長。(編集委員就任後、2010年10月に逝去)
松田和信 佛教大学仏教学部教授。
蓑輪顕量 東京大学大学院人文社会系研究科教授。
村松哲文 駒澤大学仏教学部教授。
室寺義仁 滋賀医科大学医学部医療文化学講座(哲学)教授。
森部一 南山大学人文学部教授。
森雅秀 金沢大学人間社会研究域教授。
矢島道彦 駒澤大学客員教授、東京大学・東洋大学各非常勤講師。
矢野秀武 駒澤大学総合教育研究部教授


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