◎特定非営利法人エファジャパン機関紙 えんぱわVol.8 2008年1月 掲載


明日を紡ぐラオスの女性 ――暮らしの実態と変化のゆくえ


風野寿美子著

  「命を支え続けたラオス女性の姿から、ラオスの未来を考える」

   ラオスでは伝統的に母系婚姻制、つまり婿入りが主流で、家族の生活の場は女性が中心となって支えてきました。紛争の最中も生命を支えるために必死に働き続けたラオス女性の土地に根ざした生き方に著者は強く引かれていきます。日本でも昔は日々の暮らしのために多くの労働が必要でしたが、失った習慣を取り戻すのは容易ではありません。先進国の現状を知るからこそ、今もラオスに残る暮らしを支える労働は尊いと感じます。
 一方で、公的分野では男性中心という考え方も根強く見られます。ラオスの識字率の低さは深刻な問題ですが、女性だけを見ると更に低く、衛生面の不備等も影響して妊産婦・乳児死亡率などが高い数値を示しています。特に農村の女子は母親の家事労働を受け継ぐことが多く、年齢が上がるとともに過剰になる労働が就学率の低下を招きます。また、山岳地帯に多く住む少数民族はラオス語を母語としないため、さらに不利な状況に置かれてしまいます。こうした現状を知るにつれ、何らかの制度を整える場合には多数派・強者優先ではなく、より小さい立場や力の弱い者への配慮が不可欠であることを教えられます。ラオスの書籍出版数が極端に少ないことも教育や情報の遅れの原因となっていますが、その一方で経済的な強者である先進国がラオスの森林を買い取り、膨大な量の出版物の原料として消費していることも忘れてはならないと思います。
 ラオスの人々がより主体的な生き方を選択するために、教育や衛生面の整備が急がれます。こうした問題の解決をラオス政府にゆだねざるを得ない現状は何とももどかしく思いますが、ここでも全国的組織力をもつラオス女性同盟が他国のNGOなどの活動を支えており、そうしたネットワーク力を更に活かしていくための支援が私たちにもとめられていると感じます。 

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