イラクで私は泣いて笑う 国際ボランティアの実情、現場の声で紹介 JVCブックレット創刊 紛争地域や途上国でのボランティア活動を展開する日本国際ボランティアセンター(JVC)が、JVCブックレット(めこん)=写真を創刊した。現場の声で、暗くて堅いイメージが先行しがちな世界を、手に取りやすく紹介している。 まず刊行したのは、酒井啓子・東京外大教授がボランティア3人と対談した『イラクで私は泣いて笑う』(966円)と、ボランティア自身の筆による『ガザの八百屋は今日もからっぽ』(小林和香子著、882円)。新書とほぼ同じサイズで、シンプルな表紙に意表を突く題名。写真にもしばしば1ページ丸々を使っており、分量も100ページ台と読みやすい。 『イラクで〜』は、「武装勢力」とは日本で言う「ヤンキー」が過激化したようなものという指摘から、フリージャーナリストの活動を支援するためには、悪いと思ったテレビ番組で局に抗議するより、いい番組を褒める電話をする方が良いといった「実践的」な話まで盛りだくさん。『ガザ〜』は、パレスチナ、ガザ地区の暮らしを描く。ガソリンの代用で使い古しの食用油を使うため揚げ物のにおいがする自動車の話など、現地を長く観察した人ならではの視点が際だつ。日本では珍しい同地区の入門書にもなっている。 JVCの谷山博史代表理事は「客観性だけでなく現場での取り組みによって人として感じたこと、瞬間の出来事ではなく現地にいる人の人生の連続性をも書き込んでいます」と語る。 今年中に、紛争地域でのPRT(軍民が一体化した援助)の批判などさらに2冊を出す。その後は、インド洋津波被災地の話や国連改革、日本と途上国の貧困問題などを題材として検討している。谷山代表理事は「さまざまな現場で得た蓄積をシリーズで示すことで、新しい世界の像を描いていきたい」と意気込んでいる。 【鈴木英生】