【書評再録】
◎季刊銀花(文化出版局発行) No.151秋の号 2007年9月30日 掲載


タイの染織


スーザン・コンウェイ著、酒井豊子/放送大学生活文化研究会・訳

   豊富な文化的遺産を持つ国、タイ。布を織ることは古代から伝えられた伝統的な技術といえよう。タイ北部チェンマイで働いていた英国人画家の著者はある日、この地方独特の様式を持つ織物と衣裳を緻密に描いた寺院壁画に目をみはる。これをきっかけに、東北、中央平野、都市部などの寺院壁画にある織り模様と衣裳を記録しはじめ、また実地に調査しその違いを認識する。そして染織の専門的知識を得るために帰国、大学院に入学し直す。以降はタイに通って研究を続け、伝統織物は単なる装飾品ではなく、社会、信仰生活に大きな意味合いを持つことを確信する。丹念に撮影した各地の壁画や染織のある生活スナップが興味深い。内容に共感した日本の研究会グループが現地調査まで行ない翻訳出版した。





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