おいしいベトナム料理

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 ファム・ドゥック・ナム、グエン・マイホア、小高泰

 定価2000円++税
 A5判並製・168ページ・オールカラー
 ISBN978-4-8396-0248-2 C2077

 【関連書】やすらぎのタイ食卓   おいしいインドネシア料理    ベトナム検定

 ●書評


 おいしい本物のベトナム料理を追及する、若きベトナム人シェフによるベトナム料理レシピ70。
 ベトナム料理のおいしさの基本、味の決め手となるタレやスープの作り方がきちんとわかります。
 レシピでは、北部・中部・南部の地域ごとに料理を分けて、どの地域でどんな料理が食されているかがわかるようにしています。
 マナー、お酒、お茶の飲み方など、食にまつわるコラムも充実。また、現地の人が通うベトナムのベトナム料理店を、地図付きで紹介しています。

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【目次】
ベトナムの地図
はじめに「本物のおいしいベトナム料理を」
基本のベースと下ごしらえ
基本の下ごしらえT 仕込み 基本の調理用スープ
基本の下ごしらえU ソース類 香味オイスターソース/レモン風味味わい醤油
基本の下ごしらえV タレ・ドレッシング 甘風味のニュクマム/ゴーイのドレッシング
基本の下ごしらえW 料理にかけて味を引き立たせるもの ガーリックオイルとガーリックフライ/オニオンオイル/ベトナム風キャラメル液
基本の下ごしらえX 食材の仕込み 緑豆の仕込み/エビのミンチ
基本の下ごしらえY 料理の脇役 甘酢漬け/揚げソーイ
基本の技1 食材の茹で方 野菜の茹で方/エビの茹で方/肉の茹で方
基本の技U 麺類の茹で方(ブーン、フォー)の茹で方
基本の技V ライスペーパー ライスペーパーを戻す方法/ライスペーパーを巻く方法

麺料理
鶏肉のフォー
 コラム:フォー 
ハノイ風チャーカー入りブーン
 コラム:ハノイのブーン・チャーカー 
牛肉炒め入りブーン
フエの牛肉入りブーン
ラム(焼肉)入りのブーン
ブーン・ターン
カニ肉のバイン・カイン
バインカインの作り方
鶏のミエン麺 
ミエン麺のカニ炒め
ミトーのフゥー・ティウ
 コラム:北・南・中部・・・地域ごとに異なる味や食べ方
 食材1 基本のベトナム調味料

アラカルト
揚げ手羽先のニュクマムソース
鶏肉とにんにく薬膳炒め
鶏肉のチンゲン菜蒸し
鶏肉と生姜の煮込み
豚とエビミンチのサラダ巻き
豚肉のココナッツジュース煮込み
さやえんどうと牛肉炒め
レモングラスと唐辛子炒め牛肉
牛スネ肉の煮込み
牛肉のラロット包み焼き
レモングラス風味の牛焼肉
スペアリブのココナッツジュース煮
レモングラス香味のスペアリブ
 コラム:食べ方とマナー
なすのオニオンオイル焼き
にが瓜と卵炒め
カキの焼き料理
カリフラワーとエビ炒め
エビのココナツジュース煮込み
魚としいたけ蒸し
魚の煮込み(甘露煮)
イカの肉詰め
 食材2 香草と具材

おやつ
バイン・セオ 
バイン・コット 
バイン・ベオ 
 コラム:チャー・ゾー・ゼー
網目ペーパー揚げ春巻き 
エビ・三枚肉生春巻き 
北部の揚げ春巻き(ネムザーン) 
 コラム:お茶の飲み方
 食材3 主食になる食材

酒の肴
えびのピリ辛ソース
エビの肉巻き 
フエ風甘辛エビと三枚肉の付け合せ
牛肉と玉ねぎの串焼き 
鶏肉のライムリーフ煮 
レモングラス味の手羽先焼き
 コラム:ベトナム人のお酒の飲み方
 ハノイのおいしいお店

カインと鍋
にが瓜の肉詰め入りスープ 
パパイアと豚足煮込みカイン 
クレッソンと挽肉のカイン
魚介類のスープ ・・・カインチュア
海の幸たっぷりの鍋料理
ベトナム風鶏鍋
冬瓜と干しえびが入ったカイン

ゴーイ
エビと三枚肉の蓮茎入りゴーイ
パパイアとエビと豚三枚肉のゴーイ
魚のゴーイ
タケノコのゴーイ
にが瓜のゴーイ
ハム・エビ・万能ネギのゴーイ
海の幸のゴーイ
食文化から見たベトナム

ソーイ
ソーイ・セオ
落花生入りのソーイ
緑豆のソーイ
 ホーチミンのおいしいお店

おかゆ
鶏肉のおかゆ
ハツとレバーのおかゆ
 食材4 実は便利なベトナム・インスタント食材

デザート
ベトナム風餅団子の善哉
バナナ・ココナッツ
焼きバナナのデザート
サトイモのチェー
蓮の実入りのチェー
とうもろこしのチェー
 コラム:とうもろこしの話
知っておくと一味違う!ベトナムの料理用語
 調理編/台所器具編/食料品取り扱い編/食料品編/できあがり編
ハノイのおいしい店
フエのおいしい店
ホーチミンのおいしい店
著者紹介とベトナム食材取扱店



【出版にあたって】〜本当のおいしいベトナム料理〜
 日本では、2000年前後から広がったベトナム・ブームをきっかけに、東京を中心にベトナム料理店が急増しました。ベトナムを旅する人も増え、いくつかのベトナム料理はすっかりポピュラーになりました。米を原料にした麺料理「フォー」(Pho)などはその代表的な例でしょう。
 日本人はフォーをレストランで食べても、大学祭などの屋台で売られるものを食べても、もちろん、ベトナムで食べても、皆、一様に「おいしい」と言ってくれます。しかし、実のところ、フォーはそれなりの経験やコツを心得てないと、そうそうおいしくは作れないもの。日本人の口に合うのは確かなのでしょうが、フォーの本当においしさに出会えた日本人がどれだけいるのか疑問を持つことがあります。
 本書のレシピを担うファム・ドゥック・ナム(ベンチェ省出身)は、東京とホーチミンでベトナム料理店のコック長をつとめた職人気質の若き料理人です。「伝統的」ベトナム料理作りにこだわり、ベトナム料理の醍醐味を、味覚はもちろんのこと、視覚的にも表現する努力を続けています。
 グエン・マイ・ホア(ハノイ市出身)は、ハノイでは日本大使館に勤務。その料理の腕は有名で、1996年に日本に来てからは何度もベトナム料理教室を主宰して、高い人気を得ています。得意はハノイ流の家庭料理。特に、ハノイ的視点に立って、妥協しないベトナム料理の在り方を追求しています。
 そして私自身は、北部出身で南部での生活も長かったベトナム人の母親が作った料理で育ち、また、南部出身のベトナム人が多いパリのベトナム料理にも接してきました。80年代末から90年代半ばにかけて再びベトナムに赴き、社会の激動と呼応するようなベトナム料理の変化を目の当たりにしてきました。つまり、北と南、伝統と現代、そして外国でのベトナム料理の広がりを、身をもって(舌をもって)体験してきました。
 本書は、このようにすぐれてローカルな背景を持つ3名が、自らの経験を最大限に生かし、オーソドックスな、しかも北と南の特色をしっかり出した、優美で新鮮なベトナム料理を再現したいという願いを込めて作りました。
 重要なのは、料理のベースとなる「だし」や「つけダレ」、「ソース」です。ここで紹介される料理の多くは、これらを最初に仕込むことから始まります。最初の仕込みが料理全体を決定すると言っても過言ではなく、「おいしさの基準」がこの段階で作られるのです。
 この本が皆様を本当のベトナム料理にナビゲートし、ベトナム理解のお役に立てればこれほどうれしいことはありません。

小高泰


【著者略歴】
ファム・ドゥック・ナム(Pham duc Nam)
1982年、南部ベンチェ省生まれ。ホーチミン市立ホテル観光業養成学校のベトナム料理、西欧料理の両コースを卒業。ホーチミン市ボンセンホテルに3年間勤務後、同市バー・レストランMISS DIGANでコック長を務める。2002年「アジア-アセアンの若手料理家」賞、同年「ベトナム国内料理家」銅賞、2003年「アジア-太平洋料理家」奨励賞を受賞。2004〜08年、東京のベトナムレストラン「チュングエン・ダイニング」でコック長を務める。

グエン・マイホア(Nguyen Mai Hoa)
1970年ベトナムのハノイ生まれ。
1994年、ハノイ会計・財政大学卒業。同年、在ハノイ日本大使館勤務。96年に小高泰と結婚して来日。ベトナム料理教室を数多く主宰。2007年から2011年までサイト「E-VNSHOP」を運営し、ベトナム料理の紹介と食材の販売も手がける。
著書:『会話で覚えるベトナム語666』(共著、東洋書店)。

小高 泰(おだか たい)
1966年、サイゴン生まれ。母親は北部出身のベトナム人。1976〜79年、パリで小学生・中学生時代を送る。79年、日本に。94年、東京外国語大学大学院修士課程修了。この間、92〜93年、ハノイ総合大学留学。94年から在ハノイ日本大使館専門調査員。ドイモイ普及直後のベトナムでベトナム現代史や軍隊史を学びつつ、ベトナム社会の変容を目の当たりにする。現在、拓殖大学、早稲田大学等でベトナム語、ベトナム現代史を教える。
専門:ベトナム地域研究(軍隊史および現代政治)。
著書:『ベトナム検定』(監修・執筆、めこん)、『ベトナム人民軍隊 知られざる素顔と軌跡』(暁印書館)、『会話で覚えるベトナム語666』(共著、東洋書店)、『ベトナム戦争の「戦後」』(共著、めこん)など。


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