アジア・子どもの本紀行

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 山花郁子

 定価1500円+税
 四六判上製・206ページ
 ISBN978-4-8396-0266-6 C0026
 装丁:臼井新太郎
             

 絵本作家として著名な80歳の著者が18歳の孫娘と初めてカンボジア・ベトナムを旅行しました。その新鮮な感動を綴りながら、子どもたちに読ませたいアジアの本40冊を紹介します。


【目次】
第1章 ベトナム・カンボジア紀行
  一八歳と二人で
  さあ出発! 二〇一二年三月一八日(日)
  夕暮れの市内観光
  ハノイ伝統芸能、水上人形劇
  陶磁器村バッチャン観光 三月一九日(月)
  文廟
  シクロ乗車体験・世界遺産「ハロン湾」観光 三月二〇日(火)
  思えばベトちゃんドクちゃんから二〇年
  ハノイ出発 一七時一〇分
  シェムリアップ 一八時五〇分着
  アンコール遺跡観光 三月二一日(水)
  アンコールトム遺跡観光
  憧れのアンコールワット
  コミカルで楽しい「漁師の踊り」
  不思議? サンライズ・アンコール 三月二二日(木)
  おばあちゃん ゲリラってなに?
  日本といえば味の素?
  ホーチミン空港 一八時四五分着
  メコン川はすごい混雑 三月二三日(金)
  教会・郵便局・市民劇場めぐり
  いよいよ帰国
  タラップ踏んだ途端に旅立ちの誕生日 三月二四日(土)

第2章 図書館員の血がさわぐ
  三月二四日 帰国後のはなし
  高校生ボランティアサークルが制作したベトナムの民話絵本
  ボランティア体験について
  識字教育ボランティア「ともしび」の活動
  ベトナム戦争の記憶
  ベトナムに紙芝居の種をまいた友人たち
  カンボジアの地雷の村で「ひとりNGO活動」
  カンボジア旅行を体験して
  一冊の絵本から世界をひろげる

第3章 アジアの子どもの心をつなぐ読書活動
  アジア児童文学大会から
  アジアの子どもの心をつなぐ「歌と語りのブックトーク」
  続いてほしい、子どもの交流― 再び訪れた朝鮮の地
  子どもの本で平和を作ろう
  天の声に導かれた訪朝〈上〉「朝鮮の子どもたちと触れ合って」
  天の声に導かれた訪朝〈下〉「父、弟が訪れた地に」
  何か変わったのだろうか
  ミンダナオへ行った新菜


【「あとがき」から】
 一〇月一五日、カンボジアのシアヌーク前国王が亡くなった。国王を悼み、首都プノンペン王宮前で跪き、祈りを捧げる人々の写真が掲載された翌朝の新聞を広げ、今までより身近になったカンボジアに想いを馳せていたところに、電話がかかってきた。  「ね、今頃参議院で一票の格差なんて騒いでいるけれど、私たちが四〇年も前から問題にしていたことじゃない。今更なによ。最近ますます政治があてにならないから、一人一人がしっかりしなくちゃ。あなたも頑張ってよ!」
 きびきびした口調で私を励ますのは、現在九二歳の一人暮らしの先輩である。 四〇年前の一票の格差とは、一九七二年、初めて東京七区から立候補した弟が「全国最高点落選」で問題になったことである。
 当時東京七区は、有権者約一七三万七〇〇〇以上の日本一のマンモス区であった。一四万四〇〇〇余票の大量獲得にもかかわらず、次点に泣いた。ちなみに元総理大臣の小渕さんは、三万七〇〇〇票台で当選している。この議員定数の異常なアンバランスに、早速異議申し立てをしたのが、「理想選挙推進市民の会」の市川房枝会長であった。この時、東京高裁に選挙無効の訴えをした婦人グループの一員だった九二歳からの電話であったが、考えてみると、一九七〇年代は実に私の周辺でいろいろなことがあったものである。私自身はひたすら図書館活動に夢中であったが。今回孫と一緒の旅を通して、改めて伝えることの大切さを意識した。
 私のライフワークである読書活動を通して、子どもたちに語りかけていこう。きっとオリガさんも見守ってくれている。一冊の本に向かい合っての語りを広めていこう。


【著者はこんな人】
山花郁子(やまはな・いくこ)
1931年東京に生まれる。実践女子大学文学部卒業。 東京都調布市図書館司書、公民館長、教育委員をつとめる。 平成15年度子どもの読書活動優秀実践者として文部科学大臣賞を受賞。 主な著書に『わかれ道おもいで道』(岩崎書店)、『12歳ぼくの行動計画』(小峰書店)、『おじいちゃんのめだまやき』(文研出版)、『おへそのまわりがあったかい』(草炎社)、『ブックトークのすすめ』(国土社)、『いちわのにわとり』(かど創房)、『だいすきなおばけちゃん――郁子さんの老々介護』(日本評論社)、『お年寄りと絵本でちょっといい時間――老人福祉施設での読みきかせガイド』(一声社)など。




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