タゴール 愛の物語
ラビンドラナート・タゴール 著
大西正幸者 訳・解説

カバー絵はタゴール自身の作「ある風景の中のヴェールに包まれた女」(1932~33年頃)
装幀 臼井新太郎
挿画 西岡直樹
定価2000円+税
ISBN978-4-8396-0347-2 C0097 Y2000E
2026年9月4日初版発行

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アジアで最初のノーベル文学賞受賞者タゴールの100篇近い物語作品のうちから、最大のテーマ「愛」を描いた名作を選びました。イギリス植民地時代インドのカースト制・幼児婚・寡婦殉死などを背景に、深いタゴール・ワールドが展開されます。
【著者】
ラビンドラナート・タゴール
(ベンガル語:ロビンドロナト・タクル)
インドとバングラデシュの国民詩人。近代ベンガル語の韻文・散文を確立、詩・物語・小説・劇・評論・旅行記・書簡など、あらゆる分野に傑作を残した。両国の国歌を含む数多くの歌曲(ロビンドロ・ションギト)の作詞作曲者、優れた画家としても知られる。
1913年、詩集『ギーターンジャリ』(英語版)によって、ヨーロッパ人以外で最初のノーベル文学賞受賞者となった。岡倉天心・横山大観・荒井寛方等と交流があり、日本にも5度訪れている。 自然の下での全人教育を目指して、彼がシャンティニケトンに設立した学び舎は、現在、国立ビッショ=バロティ大学(タゴール国際大学)に発展している。
【訳・解説】
大西正幸(おおにし まさゆき)
東京大学文学部(英語英米文学科)卒。オーストラリア国立大学にてPhD (言語学)取得。専門は、北東インド・沖縄・ブーゲンビル(パプアニューギニア)の危機言語の記録・記述と、ベンガルの近現代文学・口承文化。
1976~80 年、インド(カルカッタとシャンティニケトン)で、ベンガル語文学・口承文化、インド音楽を学ぶ。その後も、ベンガル語文学の翻訳と口承文化の記録に携わっている。
ベンガル語文学の翻訳は、タゴール『家と世界』(レグルス文庫)、モハッシェタ・デビ『ジャグモーハンの死』(めこん)、タラションコル・ボンドパッダエ『船頭タリニ』(めこん)、タゴール『少年時代』(めこん)など。現在、めこんのHPに、近現代短編小説の翻訳を連載中。
【挿画】
西岡直樹(にしおか なおき)
宇都宮大学農学部卒業後インド西ベンガル州のシャンティニケトン大学、ジャドブプル大学に留学。ベンガル語を学ぶ傍ら村々を巡り、昔話や植物にまつわる話を採話。自筆のイラスト入り著書に『インドの昔話下』(春秋社)、『定本インド花綴り』、『とっておきインド花綴り』(木犀社)、『インドの樹・ベンガルの大地』(講談社文庫)、『インド動物ものがたり』『サラソウジュの木の下で』(平凡社)など、絵本(文)に『サンタルのもりのおおきなき』、『カボチャでゴロゴロ』(福音館書店) などがある。
※上記内容は本書刊行時のものです。
【目次】
ガートが語る
一夜
モハマヤ
裁判官
邪魔者
見知らぬ女(ひと)
女修行僧
毀れた巣
解説
訳者あとがき
前書きなど
【解説】から
本書は、インドとバングラデシュの国民詩人、ラビンドラナート・タゴール(ロビンドロナト・タクル(B) 一八六一~一九四一)の初期~中期の「物語」作品の中から、愛」をテーマとした短編七篇、中編一篇を収めています。
「愛」は、「自然」と並んでタゴールの詩作品・歌曲作品における最も重要なテーマで、その時々における彼の内面の最も深い部分を直接照らし出しています。それに対し物語作品は、語り手の目を通して人間関係を描き出す構成を取るため、詩や歌曲とは異なり、「愛」をめぐるタゴールの思想が、その中により客観的かつ具体的に表現されています。
本書掲載の作品は、その発表時期と掲載雑誌によって、次の四つのグループに分けることができます。
(1)『インド女神』誌(一八八四) 「ガートが語る」
(2)『修行』誌(一八九二~九三) 「一夜」・「モハマヤ」・「裁判官」・「邪魔者」
(3)『インド女神』誌(一九〇一) 「毀れた巣」
(4)『緑の葉』誌(一九一四) 「見知らぬ女ひと」・「女修行者」
(1)の「ガートが語る」はタゴール二三歳の作品。彼の物語作品の事実上の処女作です。
(2)にあげた「一夜」・「モハマヤ」・「裁判官」・「邪魔者」の四篇は、タゴール三〇代の前半、東ベンガル(現バングラデシュ)を中心に活動していた時期に書かれました。『タゴール10の物語』(めこん、二〇二四年)に収められた、同じく愛をテーマとする「骸骨」・「処罰」・「完結」・「夜更けに」と同時期の作品です。
(3)中編「毀れた巣」は、タゴール四〇歳、彼が東ベンガルからシャンティニケトンに生活の拠点を移しつつあった一九〇一年、『イバ ロティンド女神』誌に八ヵ月にわたって連載されました。心理小説の傑作として名高く、同時期の長編小説『目障り』と並んで、タゴールの散文作品の歴史における転換点となった作品です。
(4)にあげた「見知らぬ女」と「女修行者」の二篇は、ノーベル文学賞を受賞した翌年、タゴール五三歳の作品。
